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自筆証書遺言と公正証書遺言の違いについて

ニュースやドラマの中でよく遺言書があったか否かということでお耳にしたことは少なからずあるかと思います。その中で想像するのがお亡くなりになられた方がご自身で書いた遺言書が見つかった、と想像する人の方が多いかと思います。

おそらく遺言書の種類としてはいくつかあるのですが、自筆証書遺言のことを言っているのではないかと思います。

では遺言書の中身はどのようなことが書かれており、また遺言書の種類はどのようなものがあり、またそれぞれのメリット・デメリットについてご説明いたします。

 

自筆証書遺言について

自筆証書遺言は文字通り自分で書く遺言のことを言い、紙とペンがあれば手軽に作成ができますが、どのような内容を書けばよいか、ルールについてはご存じない方が多いかと思います。

実際に遺言書に書かれる内容(例)は以下の通りになります。

 

遺言書

 

遺言者 甲野太郎(自分の氏名)は、以下の通り遺言する。

 

1.遺言者は、遺言者が有する次の財産を、遺言者の妻 甲野花子(妻の氏名・生年月日)に相続させる。

 

(1)土地

所在:

地番:

地目:

地積:

 

2. 遺言者は、遺言者の有する次の財産(株式、債券を含む金融資産)を、長男 甲野一郎(長男の氏名・生年月日)と長女 乙村二子(長男の氏名・生年月日)に相続させる。相続割合はそれぞれ2分の1ずつとする

1)遺言者名義の預貯金および債権

A銀行 ○○支店(口座番号111111

B銀行 ○○支店(口座番号222222

 

3. 遺言者は、遺言執行者に次の者を指定する。

熊本県○〇市○○1丁目1番地 

〇〇事務所

 

4. 付言事項

花子、一郎、二子。今までお父さんを支えてくれて本当に有難う。お母さん、いつも僕の判断に寄り添ってくれてありがとう。僕の人生に彩りを与えてくれました。一郎、僕の夢をかなえてくれてありがとう。二子、いつも僕の体の心配をしてくれてありがとう。一郎、花子、お母さんを宜しくお願いします。

 

令和5年〇月〇日(記入した年月日)

住所 熊本県○○○○2丁目22

遺言者 甲野太郎 印

 

上記の内容は一例で上げさせていただきましたが、その他にも財産が動産(車)や有価証券(株式など)である場合などケースに合わせて作成することができます。

 

メリットとしては、

①自書さえできれば自分で簡単に作成ができること

②秘密にしておけるということなどが挙げられます。

しかし、デメリットとしては

①記載内容や様式に不備があり無効になるケースがある

②紛失しやすい

③相続人等に発見されない可能性がある

④相続人等に改ざんされる恐れがある

⑤家庭裁判所による検認が必要となる、

などがあげられます。

 

デメリット②の紛失しやすいということに関しては「自筆証明遺言書保管制度」(手書きの自筆証書遺言を法務局へ預けられる制度(2020710日から))が始まり、紛失のリスクを回避できることができるようになりました。また、手続きの際に職員が日付や押印の有無などの形式の不備をチェックしてももらえます。そのため、自身で保管する場合と比べて遺言書が無効となる可能性は低くなりますが、内容の相談まではできません。預ければ有効性を担保できるわけではございませんので注意が必要です。しかし、自筆証書遺言の形式で残されたい場合は、ぜひご活用いただきたい制度です。保管申請手数料も3,900円とご利用しやすいと思われます。

詳しくは下記バナーをご確認ください。

自筆証書遺言書保管制度のご案内 - 法務局 - 法務省より

https://houmukyoku.moj.go.jp/mito/page000001_00041.pdf

 

公正証書遺言について

 

公正証書遺言は、遺言者本人が公証人と証人2名の前で、遺言の内容を口頭で告げ、公証人がそれを遺言者の真意であることを確認したうえで、これを文章にまとめたものを遺言者及び証人2名に読み聞かせ、または閲覧させて内容に間違いがないことを確認してもらい作成したものを言います。

公証人には長年裁判官や検察官、弁護士そして長年法律事務に携わってこられた方が就かれており、正確な法律知識と実務経験を有しているため、遺言内容の複雑なものでも法的に整備された内容の遺言書を作成されるため、方式の不備で遺言が無効になることがないため、自筆証書遺言と比べると正確かつ確実に遺言を残すことができます。

 

自筆証書遺言の場合、財産目録以外は自書しなければならないため高齢のため、もしくは病気等で身体が不自由で字が書けない場合は自筆証書遺言をすることができません。

しかし公正証書遺言であれば、公証人が職権でそれらに代替する形で対応を行うことが法律で認められているためスムーズに遺言を進めることができます。

また遺言の検認手続きも不要であるため、相続の開始後速やかに遺言の内容を実現することができます。

それに加え、遺言書原本が公証役場に保管されるため、紛失の恐れもなく、遺言書を破棄されたり、隠されたり改ざんされる恐れもなくなります。

高齢になるとご自身でどこに遺言書を直したかわからなくなり、何かの書類と一緒に処分してしまったりしたり、見つからなくなってしまう恐れがあるため、ご自身の意思の実現にはやはり公正証書遺言が有効であると思われます。

公正証書遺言については上記のメリットがございますが、2名の証人が必要なこと、公証役場での作成料がかかることが挙げられます。

証人については遺言者自身で手配することも可能ですが、士業の専門家を立てることで内容漏洩のリスクを減らすことができますので、やはり遺言相談より行政書士等の士業に介入いただくことが身体的にも精神的にもプラスに働くのではないでしょうか。

 

 

以上、自筆証書遺言と公正証書遺言のメリット・デメリットを簡単に述べさせていただきました。まだまだ細かい内容まではご紹介ができておりませんので、次回以降の内容で述べさせていただきます。